委嘱契約書(譲渡所得用)
 
 委嘱者(甲)は、受嘱者(乙、税理士     )に対し下記事項(2,3,4)を
確認・承認のし、次の事項(1)を委嘱する。
 
1.委嘱の範囲 平成  年分所得税(譲渡所得)の申告に関する税務代理、税務相談、税務書類の作成。(同申告に関するもの以外の相談等は委嘱の範囲に入らない。)
 
2.資料の提示 委嘱事案の処理に必要な書類、帳簿その他の資料は甲において取り揃え、乙に提示する。乙より請求のあった資料等は、甲において取り揃え速やかに乙に提示しなければならない。甲の提示した資料の不備等により委嘱事項の履行に支障を来たした場合は、乙はその責任を負わない。
 
3.説明事項の確認 甲は裏面の説明事項を確認し、必要ならば乙にその説明を求めることが出来る。
 
4.報酬 別紙乙の報酬規定に従う。
  ただし、甲の都合により委嘱事案の着手前に、この契約を解除した時は、甲は、既に支払った報酬の返還を請求しない。また着手後に解除した時は、報酬規定により乙の請求した報酬の全額を直ちに支払う。 
 
 
 
 以上の委嘱契約を明らかにするため本契約書を作成する。
 
        平成  年  月  日
 
 
                 住 所
 
          委嘱者(甲) 氏 名            印
 
 
 
               事務所住所 
 
          受嘱者(乙)税理士氏名           印

 

              説明事項
 ここでは、土地、建物等を譲渡した場合の譲渡所得について説明します。ここで説明した資料については必ず委嘱者自身により収集ご提示下さい。
 
1、譲渡所得
 譲渡所得とは、資産の譲渡による所得で、通常土地や建物を売却された場合にかかる所得税です。売却ばかりでなく交換、収用、離婚に伴う財産分与、借地権の設定や法人に対する現物出資などによっても同様に譲渡所得として課税されます。そしてこの土地建物等の譲渡による所得は、他の所得と区分して所得税が計算される、分離課税という方式を取っています。
 
2、長期譲渡所得と短期譲渡所得
 長期譲渡所得とは、譲渡のあった年の1月1日(売却の日ではありません)において所有期間が5年を超えている場合で、それ以下は短期譲渡所得となります。この長期譲渡所得か短期譲渡所得かの区分は非常に重要で、短期譲渡になれば重い税金が一般に課されることになっています。
 
3、譲渡所得の計算の方法
 譲渡所得は、収入金額から譲渡資産の取得費と譲渡費用の合計額を差し引きそれに特別控除額を引いた金額で、式であらわすと次のようになります。
 譲渡所得の金額=収入金額−(譲渡資産の取得費+譲渡費用)−特別控除額
 
4、譲渡資産の取得費
 取得費とは、その資産の取得に要した金額や設備費、改良費の額の合計額をいいます。たとえば土地でしたらその土地の購入費ですが、購入するための仲介手数料、造成費用、登記料、不動産取得税、贈与・相続の際に支払われる不動産登記費用・名義書換手数料資産を取得するための借入金の利子の内使用開始日までのものやこの借入に際して支出した公正証書作成費用、抵当権設定登記費用などがこれに該当します。
 建物など使用又は期間の経過により減価するものは、減価の額を控除して取得費を計算します。
 贈与や相続などで取得した資産については、元の所有者の取得費を引き継ぎますので、贈与者や被相続人の取得費をお調べ下さい。なお不明な場合は、収入金額の5%の相当する概算取得費となります。
 その譲渡される資産を購入したときに、他の資産を売却されてその資金で購入されかつ税法上の買換資産の特例を受けておられる場合には、この取得費は、つけかえ計算といいまして、買換元資産の購入価額を基に計算します。この場合には、この特例を適用した年の申告書の控えを必ずご提示下さい。
 
5、譲渡費用
 譲渡費用には、譲渡に直接必要な仲介手数料、登記料、契約書印紙代や測量費などです。また譲渡に直接必要な費用には、このほかにも譲渡に際して支出した交通費、借家人に対する立退料や建物の取り壊し費用などがあります。
 
6、譲渡所得の課税の特例
 土地、建物等の譲渡による譲渡所得税を計算する場合には、政策的な見地から種々の特例が設けられています。収用されたり居住用資産を譲渡した場合やには特別控除として所得金額が減額されます。また居住用資産や事業用資産の場合には買換えの特例などが出来ることもあります。しかしこの場合には、納付すべき税額が発生しなくても必ず申告しなければなりません。
 譲渡所得の特別控除によって納税額が0円となったとしても、配偶者特別控除や国民健康保険税などはそれがなかったところで計算されますので注意して下さい。  (以上)
 
7、必要書類について
 申告では、その他に次に掲げる表の書類を添付することになっていますので前もって準備をしておいて下さい。

 

  譲渡所得税の申告に係る必要書類一覧表
 

 事項等

      必要書類 





 

譲渡所得の申告の
際、共通に必要な
もの

 

@売買契約書の写し
A取得費及び譲渡費用等の領収書の写し
B譲渡資産購入時に税法上の特例等を受けた場合に
はその時の申告書の控え、
C譲渡した土地建物等の登記簿謄本






























 
収用等に伴い代替
資産を取得した場
合の課税の特例
(措法33条)
@収用証明書
A代替資産の登記簿謄本
B代替資産の取得に関する売買契約書及び領収書の
写し
相続等により取得
した居住用財産の
買換え等の特例
(措法36条の2)

 
@譲渡した土地建物等の所在地の住民票、戸籍の附
表の写し
A被相続人等の住民票、戸籍の附表の写し
B買換資産の登記簿謄本
C買換資産所在地の住民票の写し
D買換資産取得の売買契約書、領収書の写し
特定居住用財産の
買換えの特例
(措法36条の6)


 
@譲渡した土地建物等の所在地の住民票、戸籍の附
表の写し
A譲渡、買換資産の適正対価証明書
B買換資産の登記簿謄本
C買換資産所在地の住民票の写し
D買換資産取得の売買契約書、領収書の写し
特定事業用資産の
買換の特例
(措法37条)


 
@譲渡、買換資産が特例適用要件を満たすことを証
する書面
A買換資産の登記簿謄本
B買換資産取得の売買契約書、領収書の写し
C買換資産を事業の用に供したことを証する書類
 (賃貸借契約書、領収書等の写し)
既成市街地等内に
ある土地等の中高
層の耐火共同住宅
の建設のための買
換えの特例
(措法37条の5)


 
@譲渡資産の所在地が既成市街地等内である旨を証
する書類
A中高層耐火共同住宅である買換資産の検査済み証
の写し
B中高層耐火共同住宅の事業概要書及び各階平面図
C買換資産の登記簿謄本
D買換資産取得の売買契約書、領収書の写し
E買換資産を事業、居住の用に供したことを示す
 書類(賃貸借契約書、住民票等の写し)















 

収用等により譲渡
(措法37条の4)
 

@公共事業用資産の買取り等の申出証明書
A公共事業用資産の買取り等の証明書
B収用等証明書
特定土地区画整理
事業等のために譲
渡(措法34条)
特定土地区画整理事業等のために買い取った旨を証
する書面
 
特定住宅地造成事
業等のために譲渡
(措法34条の2)
特定住宅地造成事業等のために買い取った旨を証
する書面
 
農地保有の合理化
等のための譲渡
(措法34条の3)
農地保有合理化促進事業等のために買い取った旨を
証する書面
 
居住用財産を譲渡
した場合
(措法35条)
譲渡資産所在地の住民票の写し(譲渡した日から2
ヶ月を経過した日以後に交付を受けたもの)
 

居住用財産を譲渡した
場合の軽減税率
  (措法31条の3)

譲渡資産所在地の住民票の写し(譲渡した日から2
ヶ月を経過した日以後に交付を受けたもの)
 
相続財産を譲渡した場
合の課税の特例
  (措法39条)
相続税申告書の写し

 
固定資産交換の特例
   (所法58条)


 
@交換契約書、領収書の写し
A交換取得資産及び交換譲渡資産の登記簿謄本
B交換取得資産を交換譲渡資産と同一の用途に供し
たことを示す書類
 (賃貸借契約書、住民票等の写し)
保証債務を履行するた
めに資産を譲渡した場
合の特例
   (所法64条)

 
@保証契約等の内容を明らかにする書類
         (保証契約書等)
A保証債務を履行したことを証する書面
B求償権の行使不能であることを示す書類
   (債務者の財産目録、清算等に関する書類)